2026.03.17
いくら安くなる?お墓購入の節税シミュレーション
画像:戸塚長沼霊園(横浜市栄区)
「お墓を生前に買えば節税になると聞いたけれど、実際にいくら安くなるのだろう?」
そのような疑問をお持ちの方のために、この記事では具体的な数字を使ったシミュレーションでわかりやすくご説明します。
まず知っておきたい「相続税の基本的な計算ルール」
相続税は、遺産のすべてに課税されるわけではありません。遺産総額から「基礎控除額」を差し引いた残りの金額に対して、初めて課税されます。
基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
たとえば、法定相続人が配偶者と子ども1人の合計2人であれば、基礎控除額は次のとおりです。
3,000万円 +(600万円 × 2人)= 4,200万円
つまり、遺産総額が4,200万円以下であれば、相続税はかかりません。逆に言えば、遺産総額を基礎控除額の範囲内に抑えることができれば、相続税をゼロにできる可能性があります。
ケース比較:生前購入と死後購入で、税額はどう変わる?
以下のケースで比較してみます。
【前提条件】
- 遺産総額:4,500万円(現預金)
- 法定相続人:配偶者+子ども1人(計2人)
- 基礎控除額:4,200万円
- お墓の購入費用:200万円(現金一括)
ケース1:生前にお父様がお墓を購入した場合
お父様が存命中に、現金200万円でお墓を購入したとします
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| もともとの遺産総額 | 4,500万円 |
| お墓購入により減少した現預金 | ▲ 200万円 |
| 相続時の遺産総額 | 4,300万円 |
| 基礎控除額 | 4,200万円 |
| 課税対象額 | 100万円 |
購入したお墓は「祭祀財産(非課税)」のため、遺産に含まれません。結果として、課税対象となる遺産総額が4,300万円に減少します。
この場合の相続税額は、法定相続人2人で按分すると数万円程度に抑えられます。生前購入がなければ課税対象は300万円でしたので、節税効果は明らかです。
ポイント: 購入費用を現金一括で支払うことが重要です。ローンを組んで完済前に亡くなった場合、残債は遺産から差し引くことができません。
ケース2:死後に遺族が遺産でお墓を購入した場合
お父様が亡くなった後、遺族が遺産の中から200万円でお墓を購入したとします。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 相続時の遺産総額 | 4,500万円 |
| お墓購入費用の控除 | なし |
| 課税対象額 | 300万円 |
死後に遺産から購入したお墓は、相続税の計算上、遺産総額から差し引くことができません。200万円を使ってお墓を建てても、課税対象はあくまで4,500万円から基礎控除を引いた300万円のままです。
ケース1と2を比べると、課税対象額に200万円の差が生じます。これが、生前購入と死後購入の決定的な違いです。
まとめ
| ケース1:生前購入 | ケース2:死後購入 | |
|---|---|---|
| 遺産総額 | 4,300万円 | 4,500万円 |
| 課税対象額 | 100万円 | 300万円 |
| 節税効果 | あり | なし |
今回のケースでは、基礎控除額(4,200万円)を超えた「課税対象額」に対して相続税率10%が適用されます。
- ケース1(生前購入): 100万円 × 10% = 10万円
- ケース2(死後購入): 300万円 × 10% = 30万円
差額:20万円
お墓の生前購入による節税は、仕組みさえ理解すれば、決して難しいものではありません。大切なのは、購入のタイミングと支払い方法です。
なお、節税効果だけを優先してお墓を選んでしまうと、場所や管理体制についてご家族との認識が合わず、後々トラブルになるケースもございます。購入の際は、ぜひご家族で話し合いながら進めていただければと思います。
具体的なお墓選びについてご不明な点がございましたら、編集部が厳選した墓地の住職が丁寧にご説明いたします。どうぞお気軽にお寺までご相談ください。