寺院墓地の墓じまい対応|スムーズに進める手順と相談方法

 

寺院墓地の墓じまいを考えるとき

お墓が遠方にあって管理が負担になっている。

子どもに墓守の苦労をかけたくない。

そんな想いから、墓じまいを検討される方が増えています。実は、厚生労働省の統計によれば、2021年度の改葬件数は11万8,975件に達し、10年前と比べて約4万件も増加しているんです。核家族化と高齢化が進む中で、お墓のあり方を見つめ直す人が確実に増えているということです。 *出典 厚生労働省「令和3年度衛生行政報告例」

私自身、寺院の僧侶として、また寺院広報をサポートする立場として、多くの方から墓じまいのご相談を受けてきました。その中で感じるのは、皆さんが「住職にどう伝えればいいのか」「手続きは複雑なのか」と不安を抱えているということです。

でも、正しい手順を踏めば、墓じまいはスムーズに進められます。

 


まずは親族と住職への相談から始める

寺院墓地で相談する家族の様子

家族の同意を得ることの大切さ

墓じまいを進める前に、まず親族への相談が必要です。

お墓は先祖代々受け継がれてきた大切な場所ですから、関係者全員の理解と同意を得ておくことが、後々のトラブルを避けるために重要なんです。兄弟姉妹や親戚に事後報告となってしまうと、「勝手なことをされた」と心象を悪くしてしまう可能性もあります。

私がこれまで相談を受けた中でも、親族への説明が不十分だったために、後から「なぜ相談してくれなかったのか」と関係がぎくしゃくしてしまったケースがありました。費用の分担についても、この段階で話し合っておくとよいでしょう。墓じまいの費用は、お墓の規模や立地、撤去の難易度によって大きく異なります。想定以上の費用になるケースも少なくないため、誰がどのように負担するのかを事前に話し合っておくことが大切だと感じています。

住職への伝え方とタイミング

寺院墓地の場合、住職への相談は早めに行うべきです。

「墓じまいを検討している」という意向を事前に伝えておくことで、その後の手続きがスムーズに進みます。住職によっては、墓じまい後の供養方法についてアドバイスをくださることもあるでしょう。菩提寺との関係を大切にしながら、誠実に相談することが円満な墓じまいにつながるんです。

正直に言うと、「住職に言いづらい」と感じる方も多いと思います。でも、多くの住職は檀家の事情を理解してくださいますから、まずは率直に気持ちを伝えてみてください。具体的な見積もりや業者選びを始める前に、「墓じまいをしたいと考えている」という想いを共有することが、信頼関係を保つ第一歩ではないでしょうか。


墓じまいの具体的な手順

墓じまいの手続き書類と印鑑

新しい供養先を決める

墓じまいをする前に、遺骨をどこに納めるかを決めておく必要があります。

永代供養墓、樹木葬、納骨堂、海洋散骨など、現代では様々な選択肢があります。「住まいから近い」「子どもたちに負担がかからない」「自分の想いに合っている」といったポイントを踏まえて、ご家族で話し合って決めるのがよいでしょう。

新しい納骨先が決まったら、受入証明書を発行してもらいます。自治体によっては、改葬許可申請書への記入と捺印のみで済む場合もありますので、事前に確認しておくと安心です。

改葬許可証の取得

墓じまいには、現在の墓地を管轄する自治体から改葬許可証を発行してもらう必要があります。

必要な書類は自治体によって異なりますが、一般的には「現在の墓地管理者の印鑑が付いた改葬許可申請書」と「次の受け入れ先の墓所使用許可書または受け入れ証明書」を提出します。遠方で役所に行くのが困難な場合は、郵送での取り寄せやインターネットでのダウンロードが可能な自治体もあります。

手続きの詳細は、墓地のある市区町村のホームページで確認できます。分からないことがあれば、役所の担当窓口に問い合わせてみてください。丁寧に教えてくださる担当者の方が多いですから、遠慮せずに質問することをおすすめします。

閉眼供養と墓石の撤去

お墓から魂を抜く儀式である閉眼供養は、墓じまいにおいて大切な儀式です。

寺院墓地の場合、住職に閉眼供養をお願いするのが一般的で、お布施として3万円から10万円程度をお渡しします。閉眼供養が済んだら、石材店に依頼して墓石の解体撤去工事を行い、墓地を更地に戻します。

墓石の撤去費用は、お墓の大きさや立地条件によって大きく変わります。重機が入れない場所や、墓石までの距離が遠い場合は追加費用がかかることもあるため、見積もりの段階で現地の状況をしっかり確認してもらうことが大切だと思います。複数の石材店から見積もりを取り、内容を比較した上で依頼先を選ぶことをおすすめします。


費用の目安と抑え方

墓じまいの費用計算イメージ

墓じまいにかかる総費用

墓じまいの総費用は、墓石の規模や立地、撤去の難易度、新しい納骨先の種類によって異なります。内訳としては、墓石の撤去費用が最も大きな割合を占め、閉眼供養のお布施、改葬許可申請の手数料、新しい納骨先の費用なども加わります。寺院墓地の場合は、離檀料が必要になることもありますが、金額は寺院によって異なります。事前に住職に確認しておくことが安心につながります。

費用を抑えるためには、複数の石材店から見積もりを取ることが大切です。同じ工事内容でも、業者によって料金が異なることがありますから、比較検討することをおすすめします。

自治体の補助制度を活用する

一部の自治体では、墓じまいにかかる費用の一部を助成してくれる制度があります。

お住まいの自治体のホームページで、墓じまいに関する補助金や助成金の情報を確認してみてください。申請には条件がある場合が多いので、事前に問い合わせておくとよいでしょう。

また、親族間で費用を分担することも、一人あたりの負担を軽減する方法の一つです。墓じまいは家族全体に関わることですから、協力し合って進めていくのが理想的ではないでしょうか。


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合掌

<専門家である執筆者からのコメント>

「住職に言いづらい」という気持ちは、よくわかります。でも取材を重ねる中で、墓じまいを率直に相談された方ほど、円満に進んでいることに気づきました。住職は、檀家が離れることより、何も言わずに関係が途絶えることを残念に思っているんです。墓じまいは終わりではなく、新しい供養の形への出発です。誠実に伝える一言が、その後の関係を守ります。

<執筆者> 神奈川お墓の案内所編集部 池谷正明

浄土真宗本願寺派佛心寺僧侶。 テレビ⻄日本(福岡のフジテレビ系列TV局)と電通の海外拠点に勤務し、17年間のマスコミ勤務を経た取材記者。2017年に株式会社唯を設立し、寺院の広報支援と終活相談会運営と寺院マーケティングを支援。120人以上の僧侶の人柄記事、90人以上の檀家の声記事を執筆し、490人以上の終活セミナー参加者に講演した。 僧侶の人柄に特化した記事サイト「ダイアログテンプル」編集⻑。

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